林昌院に息づく信仰の道
田楽町に位置する林昌院の境内には、遠く四国に広がる弘法大師空海ゆかりの八十八ヶ所霊場を模した「四国八十八ヶ所石仏」が建立されております。これは、実際に四国遍路の道を歩むことが難しい方々でも、当地において四国八十八ヶ所巡拝と同じ功徳を得られるようにとの願いが込められた、信仰の象徴でございます。
四国八十八ヶ所霊場とは
四国八十八ヶ所霊場は、弘法大師空海が修行した地であり、またその足跡を辿る巡礼の道として、古くから多くの人々が歩んできました。徳島県の「発心の道場」から始まり、高知県の「修行の道場」、愛媛県の「菩提の道場」、そして香川県の「涅槃の道場」へと続く約1,400キロに及ぶ道のりを巡ることで、人間が持つとされる88の煩悩が一つずつ取り除かれ、心が清らかになり、願いが叶うと信じられています。
石仏に込められた功徳
林昌院の「四国八十八ヶ所石仏」は、この四国八十八ヶ所霊場の各札所の御本尊を模した石仏が、境内の一角に整然と並べられています。それぞれの石仏の足元には、実際に四国八十八ヶ所の各札所から頂戴した「お砂」が納められていると伝えられております。
この「お砂踏み」という行為は、四国遍路を巡拝するのと同じ功徳が得られると言われています。各石仏の前で手を合わせ、心を込めてお参りすることで、遠く離れた四国の地を巡るのと同様に、煩悩を断ち、ご縁を結び、平安な心を得ることができるのです。
なぜ石仏が建立されたのか
遠い昔から、四国遍路は厳しい修行の道であり、誰もが容易に辿れるものではありませんでした。特に高齢の方や病気の方、遠方にお住まいの方など、様々な事情で巡礼を断念せざるを得ない人々が多くいらっしゃいました。そうした方々にも、遍路の功徳に触れていただきたいという慈悲の心から、全国各地に「新四国八十八ヶ所」や「お砂踏み道場」が設けられるようになりました。林昌院の四国八十八ヶ所石仏も、この篤い信仰心によって建立されたものでございます。
林昌院での「お砂踏み」
当院の四国八十八ヶ所石仏を巡ることは、日々の喧騒から離れ、静かに自己と向き合う尊い時間となります。一つ一つの石仏の前で合掌し、お大師様や各札所の御本尊に想いを馳せることで、心が洗われ、新たな活力が湧いてくることでしょう。
ぜひ林昌院にお越しの際には、四国八十八ヶ所石仏の御前で、心ゆくまでお参りいただき、遍路の功徳と平安をお感じください。皆様のご参拝を心よりお待ち申し上げております。
秋葉山 林昌院(りんしょういん)
住所:春日井市田楽町1716番地
電話:0568-84-6238
FAX:0568-84-2620
・JR中央本線春日井駅から名鉄バス
・小牧行き 西町屋バス停下車 徒歩10分