保護猫活動三本目の柱は「譲渡会」
猫ちゃんたちにとっての本当の幸せとはなんでしょう。最初にお話しした通り、もともと「野良猫」という種類の猫はいないのです。
長い年月をかけ、人間と暮らすよう品種改良された猫たちは、もはや外で暮らすことはできません。
飼い主を探して譲渡すること。これを私たちは「ずっとのおうち」と呼んでいますが、一匹でも多くの猫ちゃんに「ずっとのおうち」を見つけてあげることが、保護猫活動の「ゴール」だと考えています。
猫の一生は短いです。ずっと一緒にいてあげてください。
譲渡は私たちの「ゴール」ですが、飼い主さんと猫ちゃんの生活はそこから「スタート」します。猫の命は長くて15年前後。その間ずっと一緒にいてあげて欲しいのです。
まだ私がこの活動に就く前、自宅近くで偶然拾った子猫を、猫が欲しいという知人に譲ったことがあります。
私が「オセロ」と名付けたこの猫は、結局数カ月でまた私のもとに帰ってきました。知人がこの猫を手放すと決断した理由は、自分自身の妊娠でした。
猫の十戒
〜 私からあなたへ 〜
- 私の命は、あなたほど長くはありません。そのことをどうか理解して、私との一瞬一瞬を大切にしてください。
- あなたが私に何を求めているのか、私のペースで理解する時間を与えてください。急かしたり、無理強いしたりしないでください。
- 私の信頼を決して裏切らないでください。一度壊れた信頼は、二度と元には戻らないかもしれません。
- 私にとって、あなたは世界の全てです。あなたの存在が私の安心できる場所であり、私の幸せそのものです。
- 私に話しかけてください。あなたの声の響きで、私が愛されていることを感じ取ることができます。そっと撫でてくれる手も大好きです。
- 私の縄張りであるこの家で、私が安心してくつろげる、自分だけの静かな場所を与えてください。そして、無理に構いすぎず、私が甘えたい時に受け止めてください。
- 病気になったり、年老いたりしても、どうかそばにいてください。あなたが想像する以上に心細く、痛みを感じることがあります。
- 私を叩いたり、ひどい言葉で叱ったりしないでください。私はあなたが思うよりもずっと繊細で、深く傷つき、心を閉ざしてしまうことがあります。
- 私のトイレはいつもきれいにしてください。汚れていると、心も体も不快になります。清潔な環境は私の心と体の健康に不可欠です。
- 私がこの世を旅立つその日まで、そばにいて、私を支えてください。そして、私があなたをどれほど深く愛していたか、決して忘れないでください。
トライアル
譲渡した猫ちゃんが飼い主の都合で再度手放されることの無いよう、猫ちゃんと飼い主さんの相性を見る期間を「トライアル」と呼びます。
トライアル期間は1週間~2週間、その間、飼い主さまだけでなくその家族の方や先住猫ちゃんともうまくやっていけるか、実際に猫ちゃんを預けて相性判断をします。
せっかくの出会いもこのトライアルで白紙となる場合も多くあります。なので少しでも多くの方に私たちの活動を知ってもらい、猫の欲しい方はペットショップで買わず、保護猫たちの中から選んでいただけるようお願いしています。
譲渡会
猫をタダで貰えるわけではありません。
保護後にその猫ちゃんにかかった医療費、例えばワクチンの費用や去勢避妊の費用が譲渡と共に請求されます。皆さんに覚えておいて欲しいのは、そのお金は猫ちゃんの代金ではなく、また次の猫ちゃんの保護に使われる「命を繋ぐお金」だということです。

私たちは名古屋市の保護猫組織「ねころび」です。日本中の犬猫殺処分ゼロを目指し、主に不幸な野良猫を減らすための避妊去勢手術、恵まれない立場の動物の保護を行うために活動しています。